世界は需給で動く②

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bargensale

こんにちは、海沼です。

「世界は需給で動く」パート②になります。

前回の最後のほうで、

「経済活動のほとんど全ては需給で説明できる」

と書いて終わったわけですが、

今回はその辺を深堀りしていきたいと思います。

経済活動と需給の関係性を説明するにあたって、

せっかくなのでたぶん日本人もしくは日本に住んでいる人
なら一度はテレビやニュースで聞いたことのある

「デフレ」

これをネタに解説していきましょう。

あ、本題に入る前に「デフレ」とは何か?
その定義を共有しておきたいと思います。

この定義ってーのは非常に重要ですので。

さて、改めまして。

「デフレ」とは何でしょうか?

パッと頭に思い浮かびますでしょうか?

思い浮かんだのなら、
普段から物事の定義解釈をしっかりと確認しているのでしょう。

素晴らしいことです。

思い浮かばなかった場合、
それはそれで別に気にすることはありません。

これから学べばいいのです。

重要なのは、

「自分が知らないということを「知る」こと」なのですから。

別に言葉遊びをしているわけではないですよ(笑

あんまり引っ張ってもアレですので本題に戻りますが、

デフレとは、

「継続的に物価が下がり続けること」

ついでなのでインフレの定義も書いておきますと、

「継続的に物価が上がり続けること」

になります。

ポイントは、「継続的に」という部分です。

例えば年末セールの大バーゲンで全国のデパートの
商品が値下げされたとしましょう。

そうすると確かにその瞬間は物価(店頭価格)

は下がるわけですが、

これはデフレではありません。

なぜなら一時的な現象だからです。

インフレについても同様、

例えば為替や国際情勢の影響で一時的に物価が上がるだけ
ではインフレとは呼びません。


両方共一定期間「継続的に」物価が下がり続ける、
もしくは上がり続ける
必要があるのです。

で、日本は今まだデフレなのですが、
そもそもそれはいつから始まったのでしょうか?

まずはこの図を見てみてください。

http://www.garbagenews.net/archives/2064125.htmlより引用

「1998年」を境に消費者物価指数が綺麗に下がり続けていることがわかりますね。

ちなみに消費者物価指数とはその名の通り「物価=商品の値段」なのですが(略してCPI)、

実は3種類あるんですね。

で、この種類とその違いを知っておくことは今後非常に重要になって
きますのでここで解説しておきます。

これを機にサクッと覚えちゃっていただければこれ幸い。

まず一つ目ですが、

「CPI」です。

Consumer Price Index の略にになります。

僕らが普段スーパーなどで買う食品にはじまり、
ガソリンやお酒、その他サービスなどの価格の平均の変動を
数値化したものです。

2つ目が「コアCPI」です。

これはCPIから生鮮食品を除いたものです。

生鮮食品というのは野菜や果物、肉などですね。

こういったナマモノの価格は天気や餌の値段などで変動
しやすいので、

これをあえて除いてコアCPIとして計算してるわけです。

3つ目が「コアコアCPI」です(←ネーミングセンス?・・・)

天気や為替変動の影響を受けやすい「食料」と「エネルギー」
を除いた物価指数ですね。

先ほども書いたように食料は天気の影響を受けやすいことと、
例えば豚や牛などに食べさせる餌は外国から輸入した穀物なので、

円安になれば値段が上がり、
結果的にスーパーに卸す際の店頭価格も上がってしまいます。

同様にエネルギーに関しても日本は海外から大部分を輸入しています。

例えばガソリン、そして普段使っている電気もそうです。

特に東日本大震災で原発が停止してから
日本は天然ガスの輸入を大量に増やしました。

原発の代わりに天然ガスを燃やして火力発電をするためですね。

なので、実は電気代というのは数年前からけっこうな額上がってたりします

敏感な人は気づいてたと思います。

ということで、

コアコアCPIでは価格変動の激しいガソリン価格や電気代、都市ガス代と
食料をあえて除くことで「正確な物価変動」
を見るためにあるわけですね。

さて、消費者物価指数の解説はこのくらいにして・・・

そもそもなぜ日本は1998年からデフレに突入したのでしょうか

これを知るためには、

そもそも「なぜデフレが起こるのか?」を理解しておく必要があります。

ここでようやく「需要と供給」という考え方が出てくるわけです 笑

ちなみに巷にはデフレの原因として、

「世の中のおカネの量が足りないからだ!」

「いや日本の人口減少が原因だ!」

と、そう主張される方々がいるわけですが、

「世の中のおカネの量が足りない」というのは一部正解ですが、
それがすべてではありません。

まあ「一理あるよね」って感じではありますが、
この辺はまた説明が必要なのでまた今度に回すとして、


「デフレの原因=人口減少」こちらは明らかに間違いです。

実はここだけの話、

僕も昔「デフレの原因って人口減少でしょ?」って思ってました(

が、しかし、

よくよく考えてみるとですね、

少子高齢化で若い世代、つまり現役世代の人口が減るということは、
それだけ働く人が少なくなるわけですね。

つまるところ農業で農作物を作ったり、工場でテレビや車を生産したり、
介護職についたり、

そういった商品やサービスの「供給が減る」ということなので、

人口減少というのはデフレの原因とは考えにくいのです。

むしろ供給が減る分インフレを起こしやすいものなのです。

実際過去にドイツやジンバブエでハイパーインフレ(年間で物価が130倍以上になる現象)
なるものが発生しましたが、

その原因は双方とも「供給が極端に減った」からなんですね。

例えば1000人の人がパンを買いたいのに、
パン屋には食パンが一切れしか売ってなかったらそりゃ
値段高騰するだろってことです。

価格というものは基本的に「需要」と「供給」のバランスで決まるのです。

 

需要に対して供給が多くなれば価値は下がり、結果値段も下がります。

 

逆に需要に対して供給が少なければ価値は上がり、結果値段も上がります。

 

ドラゴンボールZの魔人ブウ辺でベジータがこんな
セリフを吐くシーンがあります。

「孫悟飯の弟もなれるのか? 
・・・超サイヤ人に・・・

・・・まるで超サイヤ人のバーゲンセールだな・・・」

まさに需給関係を見事に言ひ現しているセリフです(さすがベジータ・・)

フリーザ辺で悟空がはじめて超サイヤ人になった時は、
文字通りそれが「悟空1人」だったので非常に価値がありました。

しかし魔人ブウ辺になると、

トランクスや悟天が楽勝で超サイヤ人に変身し、

さらには合体してゴテンクスになってみたり、

超サイヤ人2や3まで登場し、

結果的に「伝説の超サイヤ人」というブランドは失墜したのです。

 

さて、話を戻して「デフレの原因」は何か?ですが、

もうわかったのではないかと思います。

そう、それは「需要の不足」なのです。

インフレの真逆です。

要は商品やサービスの供給は十分なのに、
それを受け止めきるだけの「需要」がないので、

企業などは仕方なく商品の値段を下げざるをを得なくなり、
結果的に物価が下がり続けデフレになると。

こういうことを話すと、
極稀に「物価さがるんだから良いことじゃね?」
みたいな爆弾発言をされる方がいらっしゃるのですが、

まあ気持ちはわからなくもないです。

が、実はこれ非常に深刻な問題なんですね。

よく考えてみると非常にカンタンな原理なのですが、

物価が下がるということは、

すなわち企業の利益が減ることと同義です。

企業の利益が減ると、

その分の人件費を削減、つまり給与やボーナスカットしたり、リストラしたり、
新規採用を減らしたり、非正規雇用(派遣社員)を増やすのです。

要するに僕らが最終的に手にすることができるおカネが減ります。

使えるおカネが減るので僕らはさらにモノを買わなくなり、
貯金して将来に備えようとします。

するとさらに供給に対する需要が減り、
デフレを加速させます。

さらに供給過剰状態が続くと、
そもそも商品やサービスを供給する個人や企業の経営が
成り立たなくなって撤退を余儀なくされるところも出てきます。

そうすると日本という国の重要なチカラである「供給能力」
削らてしまい、

いざデフレを脱してインフレになりものすごい需要が生まれても
それを満たすだけの供給ができなくなる可能性も出てきます。

これらの現象を総じて「デフレ・スパイラル」と呼ぶのです。

これが長年日本を苦しめてきた元凶であり、
その問題を抜本的に解決するために出てきた政策が

安倍政権の3本の矢(アベノミクス)なわけですね。
(ただしまだデフレは脱してません)

デフレというのは物価が継続的に下がり続ける現象で、

その原因は供給に対する需要が足りないからで、

デフレ・スパイラルが日本の不況の元凶で、

そしてそれは1998年以降続いているわけですが、

ではその「1998年」という年に一体何があったのでしょうか。

次回パート③で解説していきます。

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  1. route66
  2. mirai
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